日本経済の状況
日本では90年代以降、マスコミの報道などにより国民の間で財政再建の機運やインフレを嫌う傾向が高まったことにより、政府は公共事業などの適切な財政政策や市場への資金供給などの適切な金融政策が行えず、消費の低迷や国内への投資を喚起できなかった。しかし2003年、小泉政権において大規模な為替介入が行われたことにより円相場の実質実効為替レートは低下傾向を示した[9]。結果、輸出系企業は国内に積極的な投資を行った[10]。この間、輸出系企業は米国およびBRICsなどの新興国、また、中東・オーストラリアをはじめとした資源国など、特に経済成長が著しい国家を主要販売先として、外需依存型の経営を行なっていた。
しかし、海外で好調であっても、国内ではインフレが起きなかったため、2000年代の雇用報酬は伸び悩んだ。また、失業率や有効求人倍率は改善したが、退職給与引当金の損金繰り入れが廃止されたことや、非正規雇用の規制緩和などにより、企業が正社員よりも低賃金・低待遇ですむ非正規雇用者の採用を進めたこともあり、個人消費は伸び悩んだ。そして企業がバブル崩壊後の借金経営に対する批判から、大規模な借金によるレバレッジ投資を控え、儲けた利益の範囲内で投資を行ったため、雇用報酬は伸び悩んだ。これらの現象は「実感なき経済回復」と総称された。
2006年以後、日銀はデフレを脱したと判断して、不況対策としての量的金融緩和政策を解除した。これ以後、企業倒産件数は増加傾向にあり、さらに建築基準法改正や原油・原材料価格の高騰によるコスト増などで、景気後半でようやく盛り上がった建設・不動産・運輸業は低迷していた。
そのような時に、今回の金融危機が訪れた。そしてアメリカ向け外需のみならず、アメリカへの輸出を主な収益源としていた新興国や資源国向けの外需も低迷し、回復のメドは立っていない。さらに金融商品に変わる投資先として通貨、特に日本円が注目されて急激に円買いが進んだ結果、予想外の急速な円高が生じた。円相場は一時は1ドル=87円にまで達し、その後も90円台を推移している。その結果、輸出企業は外需低迷ばかりか莫大な為替差損をも抱え込むことになり、2008年度の決算を大幅な黒字から赤字へと下方修正、そして赤字から大幅な赤字へと再度下方修正せざるを得なくなっている。
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企業は外需の収益悪化・受注減少、2009年問題などにより、派遣社員や期間工、そして正社員の人員削減を進めざるをえない状況となり、2009年3月末までに失われた非正規労働者の雇用は19万人に達した[11]。この人員削減が個人消費を落ち込みませ、内需を悪化させることで更なる人員削減を招くという悪循環が生じるとの分析もある[12]。
また2007年、安倍内閣での度重なる閣僚の不祥事による政治不信に加え、マスコミの報道などにより国民の間で年金不信が高まった[13]結果、参院選で与党が敗北していわゆるねじれ国会が生じた。野党は与党の支持を落とすため、審議拒否を行い[14]、与党の機動的な政策運営の手足を縛る要因となっている。また、与党内部でも党内主流派と「麻生内閣では選挙に勝てない」という反主流派との内部対立が表面化し、日本の政治面もまた、政治が動けないことで麻生政権の支持率が落ち、支持が低いために効率よく政治を動かせない、という悪循環に陥った。西松建設事件のさいの民主党の対応のまずさで支持率は下げ止まったかに見えたが、直後のかんぽの宿問題で麻生首相はさらに拙劣な対応をとってしまい、鳩山総務相の離反を招いて支持率はふたたび下落、麻生政権は政治を動かすどころかレームダックに陥りつつある。